リアル“男の娘”のエポックメイキング・大島薫さんが、自画撮り以外の手段で、美意識や価値観にこだわる現代女子に焦点を当てお話を伺っていく、対談の旅『彷徨う大島薫』。第二回目のお相手は、前回に引き続いて、昨年、下着業界で一大センセーションを巻き起こした新鋭ブランド『feast』デザイナーであり、ブランドを展開する「株式会社ウツワ」CEOを兼任するハヤカワ五味さんです。今回は、ハヤカワ五味さんの恋愛観や、今お付き合いしている彼について赤裸々に語っていただきました。
前回の記事:彷徨う大島薫①
自身の恋愛より、友達の恋愛の方が大事?
大島薫さん(以下、大島):ハヤカワさんの恋愛についてお伺いしたいのですが、ハヤカワさんは今までの恋愛で、何か失敗エピソードなどはありますか?
ハヤカワ五味さん(以下、ハヤカワ):私は自分の恋愛に関してはドライなんですが、友達の恋愛にはすごく共感して、一緒に喜んだり悲しんだりするタイプなんですよ。以前、仲の良い友達カップルが別れたことがあったのですが、その時はものすごくショックで友達以上に私が落ち込んでしまって……。それが原因で当時付き合っていた彼と別れたんです。
大島:ええー!友人の恋愛がそこまで影響を与えているのですか?
ハヤカワ:そうですね。友達の恋愛とはいえ、自分が当事者のような感覚になってしまうので……。最近はそこまで気にしないように意識していますね。
大島:ということは、ハヤカワさんは今恋愛しているのですね。
ハヤカワ:はい、恋愛しています! 今の彼はとても落ち着いていて、平穏な方なんです。私と付き合う方は寛容な方が多いのですが、それでも付き合ってすぐに別れるか、長く付き合うか、本当にどっちかなんです。
大島:なるほど! ハヤカワさんに彼がいるということなので、それについて詳しく聞かせてください!
仕事と恋愛……ハヤカワ五味さんのパワーバランスって?
大島:ハヤカワさんは起業家で学生で、すごく忙しい方じゃないですか。恋愛する時間はあるのかなってずっと気になっていたのですが、その辺はどうですか?
ハヤカワ:起業していると忙しいと思われがちですが、私は仕事も学校も恋愛も全部大好きなので全てをバランスよく楽しみたいんです。ずっと仕事していると気持ちがそっちに偏ってしまうので、意識して時間配分しています。だから私は起業家としては結構休んでいるほうだし、彼とデートに出かけたりもしますよ。
大島:僕は仕事ばっかりになっちゃうので、そういう所は男の子だなって自分で思うんです。ハヤカワさんのようにうまく配分できるのは女性ならではですよね。
ハヤカワ:私自身が「全部楽しみたい」と欲張って考えるタイプなんですよ。だからこそ、ひとつひとつ濃厚に過ごせるよう時間を大切にする気持ちを持てたんです。「ここはしっかりこってり仕事をしよう」「今日は遊園地に行くからとにかく楽しもう」と考えるようになってからは仕事にもより本腰が入るようになり、モチベーションを保てるようになりましたよ。
女性特有のイライラ期。彼との付き合い方って?
大島:よく「女性は感情を優先してしまい、仕事に力が入らない時がある」なんて言葉を耳にするのですが、ハヤカワさんもそういう面はあるのですか?
ハヤカワ:もちろんありますよ。私は「この日はイライラするだろうな」といった自分の一ヶ月間の感情の動きをなんとなく把握しているんです。それで気持ちを抑え込むとか、そうならないように努力するのではなく、逆にそういった感情をすべて恋人にぶつけてしまうんですよね。彼がそうしたイライラを受け止めてくれるので逆に仕事がうまくいっているのもあって。感情の揺れに理解がある方とお付き合いできたのは本当に幸せだと思います。
大島:仕事を上手にこなすためにも恋愛だったり彼の存在は必要ということですか?
ハヤカワ:必要ですね。逆に彼の存在がなかったら精神的に安定しないことがあると思うんです。
ハヤカワ:それこそ普通だったら仕事の悩みは恋人と共有できないじゃないですか。今付き合っている方はクリエイター気質なので仕事の悩みでも共有できることが多いんです。親とか大学の友達とはそういった話ができないので本当にありがたいですね。
大島:僕は今付き合っている彼が寛容な人だと聞いた時、「忙しいことに理解がある」という意味だと思ってたんですけど、そうではなくて「包容力」があるという意味なんですね。
ハヤカワ:今の彼は私のモチベーションを統一してくれる人なので、私のマネジメント役になってもらうこともあるんですよ。
大島:彼氏がいないと調子が悪くなってしまうこともあるんですか?
ハヤカワ:極端な話、あります! なるべく依存はしないようにしているのですが、私自身がネガティブなので自分を認めてくれる人が誰か一人いないと結構落ち着かないですし、新しい企画も生み出せなくなってしまうんです。
大島:自分を認めてくれる今の彼の存在は大きいということですね。
ハヤカワ:そうですね。友達でも恋人でも家族でも、何があっても自分を認めてくれる人がいるのは心強いです。
ハヤカワ五味さんの理想の男性ってどんな人?
大島:ハヤカワさんにとって、今の彼氏は理想のタイプですか?
ハヤカワ:私はもともと理想のタイプというものがないんです。見ているだけなら腐女子的な感覚で楽しむこともできるのですが、それはあくまでも作品や妄想の世界のものであって。現実とはまた違うんですよね。
大島:理想のタイプはないとのことですが、「こんな男性と付き合ってみたい」というのは?
ハヤカワ:自分がわりと周囲から持ち上げられるタイプなので、それとは反対に、ずばりと厳しい事を言ってくれる人にグッとくることがありますね。でも、いざ本当にそういう人と付き合うとなるとムカツクし、きっと上手くいかないと思うんです。
大島:理想の相手が自分に合うとは限らないですもんね! 現実に付き合うタイプはどういう方が多いのですか?
ハヤカワ:
いわゆる「お人好し」の方ですね。恋愛でよくある優しすぎて友達止まりになってしまうような男性とお付き合いすることが多いんです。即恋愛対象から外されてしまうような男性ですね。
大島:なるほど。先ほどクリエイター気質な彼だから悩みを共有できるという話が出ましたが、付き合う相手は職業や職場が一緒の方が良いということでしょうか。
ハヤカワ:同じ職種の人は無理ですね。特にアパレル系の人やデザイナーとは絶対に付き合えないと思っているんです。「ここがダサい」とか言って喧嘩してしまいそうで……。こうした業種で働くみなさんそうだと思うのですが、やっぱり自分が作ったものが一番なんですよ。だからこそ、仕事にしろ性格にしろ、尊敬できる部分がないと付き合い続けるのは難しいと思うんです。
大島:今の彼のことは尊敬しているんですか?
ハヤカワ:今の彼はクリエイターと言っても、私があまり知らないジャンルなので尊敬できているのかもしれません。そう考えると、私の場合、仕事の内容を把握できる職場恋愛などは向いていないですね。
大島:相手を尊敬しているということでしたが、それでも自分がイライラいしているときは彼氏に八つ当たりしちゃうのですか?
ハヤカワ:そうですね。私も彼もどんなに喧嘩しても、寝て起きるとすべて忘れてしまうタイプなので、なんとかなっているのかもしれません。きっとお互いにとって今みたいな関係が“ちょうど良い”のでしょうね。
(つづく)
[プロフィール]ハヤカワ五味
1995年8月21日東京都生まれ。株式会社ウツワ代表取締役兼自社ブランド『feast』デザイナー。高校1年生の頃より「ハヤカワ五味」名義でアクセサリーやタイツをデザイン、販売し、キリトリ線ストッキングや木目調ストッキングがTwitter上で話題になり、メディアで取り上げられ、昨年は品乳ブラで業界の話題を独り占めにした。多摩美術大学に通う、現役の美大生でもある。
[プロフィール]大島薫
純粋な男性でありながら、男の娘として大手AVメーカーと専属契約をした元AV女優。現在はタレントとして活動中。ヴィレッジヴァンガード、シンデレラバスト専用下着ブランド「feast by GOMI HAYAKAWA」ではモデルとしても抜擢されており、GAP原宿フラッグシップ店での「OUT IN JAPAN」プロジェクトでは、多くの著名人と並び男の娘として大々的に紹介された。作家としての執筆活動も熱心に行っている。初フォトエッセイ『ボクらしく。』(マイウェイ出版)が発売中。