みなさまごきげんよう、ひろこセンセイの美術の時間ですよ。
今回のテーマは「タイトル」です。
最近、みなさん、沢山写真撮るわよね。スマホでパシャパシャ…
現像も要らないし、いい時代です。
さて、あなたの携帯に溜まりまくってるお気軽な日常写真も、
一発でアートのサクヒンに変身しちゃうかもしれない極意があります。
それは、「タイトル(題名)」をつける、って事なの。
もちろん、よーく考えてつけるのが重要よ。
では、「タイトル」の魔法についてお話ししますね。
ここに、毎日ひろこが息子に作ってる、
何の変哲もないお弁当写真があります。
このタイトル、
だとしたら…? …まあ、普通よね。
さて、タイトルを変えてみましょう。
そうね、何がいいかしら…。
…どう?
急に、変わるわよね…!?
ある鑑賞者なら、こう考えるかもしれないわ。
「この普通の手作り弁当が、最後の…晩餐…?
…こんな風に、
(ただ、この人の後半の思考はちょっとどうかしらね…考え過ぎ病の処方箋を出してあげたいわ。)
ほんとは、何にも考えずに撮った写真なのに
タイトル命名でこんなに違ってしまうって、
なんだかコワイわよね。
特に現代美術はね、
例えば、現代美術の初代創業者、マルセル・デュシャンさん(※1)。
彼は、男性の小便器をそのまま展示して「泉」
それまでのアートの概念を覆した、歴史的な作品なのよ。
便器が「泉」って名前になって、
そうなら、
試しに、あなたのプライベートな日常写真に「タイトル」
あらふしぎ、それ、ビジュツサクヒンに、なっちゃうかも!
(続く)
[プロフィール]岡田裕子
多様な表現形態で社会へのメッセージ性の高い作品を制作。2007「Global Feminisms」Brooklyn Museum、2009「NO MAN’S LAND」旧フランス大使館跡など、国内外の展覧会多数。現・多摩美術大学美術科演劇舞踊非常勤講師。2010年より個人活動と平行して、オルタナティブ人形劇団「劇団★死期」を主宰。夫で美術家の会田誠を顧問とし、多様で実験的なパフォーマンスをプロデュースする。2015年は、東京都現代美術館「ここはだれの場所?」(7〜10月)に”会田家”として参加、また韓国国立現代美術館国際アーティストフェローシッププログラムにて韓国滞在制作・展覧会などの活動を予定。また、この夏、劇団★死期初の小説「ゲンダイチコースケの殺人ミュージアム」を刊行予定。
(※1)マルセル・デュシャン
1887年7月28日生まれ。は、フランス生まれの美術家。1917年、『泉』で20世紀美術に決定的な影響を残した。画家として出発したが、油彩画の制作は1910年代前半に放棄した。チェスの名手としても知られた。1968年10月2日没。