アンニョンハセヨ~!(こんにちは/韓国語)
ヒロコせんせい@ソウルです。
ヒロコ先生はこの夏、アーティストが滞在して制作する宿舎で(美術用語ではアーティストインレジデンスといいます)、ソウルにて暮らしています。
現代美術家はこのように「いんたーなしょなる」に活動する事が多々あります。
アーティストインレジデンスで暮らすと、こちらで展覧会もやったりします。
そうすると、地元の人は
「なるほどこの国の人はこういう事を考えているんだナ」
「外国のものが生で見れてラッキーだな」
と思ったりします。
また、アーティストも現地で滞在制作をすると、色んな事がわかります。
アーティストが色んな事を知ると、のちにそれを作品で母国の人に伝えるかもしれませんね?
アーティストインレジデンスにはそういった役割があるのです。
そうだ、わたしは国際交流の橋渡しなのだわ!…そう思うとヒロコせんせいもテンションがあがります。
しかしアーティストインレジデンスというものは大抵、建物は広く、壁は全て真っ白、普段は数人のアーティストとスタッフと玄関を守る守衛さんしか居ません。まるで病院のようで、夜はちょっと怖いです。
「実はアーティストだと思い込んでる精神病患者(=自分)の入院施設だったらどうしよう…。」
なんて妄想をかき立てる、ちょっと特殊な空間です…。
いまここには、香港在住のチェコ人、スイスで育ったベトナム人、アジア生活の長いオーストリア人、美しいフランス人女性、現地の韓国人、そして日本人が居ます。
こんなバラバラの人種で、各国の習慣を話し合うのは面白いですよ。
例えばライブパフォーマンスの鑑賞中。携帯でライブを撮影したいのだが、音が鳴るのを気遣って、シャッターを押せずに居る私に、チェコ人は
「ハァ?なんでシャッター音消せないの!?」
といいました。
私は
「日本の男性はしばしば若い女性のスカートの中を撮りたがるから、それを防止しているのです。」
と答えます。
「なんじゃそりゃ!変なの!」
と、彼はビックリして笑いました。
ソウルは日本に近いので、遠くから来たアーティスト達からは「ソウルに来たついでに、日本にも観光に行きたいんだ」と相談されます。
あるオーストラリアの元気な若手アーティストは言いました。
「なんかさ、ジャパンって、ものすごく小さい箱みたいで、ベッドとテレビしか無くて、SFのコールドスリープみたいな安いホテルがあるんでしょ?行きたい!なんていうところなの?」
「それは、カプセルホテルというところです。」
「カプセル~!?(注:カプセルとは本来、薬のカプセル、または宇宙船の一部の意味です)スゲー!変なの!」
と、彼は興奮気味です。
私は続けます。
「安くて泊まれるなら、<ネットカフェ>にも泊まれますよ。マンガが図書館みたいに沢山あって、ネットとPCが使えて、ジュースや、スープや、アイスクリームなどがフリーなのです。シャワーがある所もあります。」
「えええええ~!ジャパンのネットカフェは泊まれて、シャワーも、無料アイスクリームも!?なぜそこまでする!スゲエ!」
彼は絶対に日本のネカフェに泊まると言っていました。若いから大丈夫でしょう。
私たちが当たり前に思っている事は、外国人からはとても奇妙に思える事なのですよね。
おっと、ソウルの街の話が出来ずに終わりそうです。
自分撮り繋がりでいいますと、自撮り棒を見ました。やはりここでも観光地で使われてるのを目にしますね。女の子同士で楽しそうに自分撮りしています。
自分撮りは世界中の若者に愛されています。
あと若者と言えば、ソウル中心部でデートする若いカップルも印象的です。
彼らはとてもいちゃいちゃしています。
人目もはばからず、手をつないだり、身体を絡めたり、キスをしたりと仲睦まじいです。
ヒロコせんせいはこういうの嫌いではありません。
「若いって、いいもんじゃのう…。」
…と、おばあちゃんのように眼を細めてしまいます。(既に老人目線か)
イチャイチャカップル、日本人よりオープンな性格の韓国人の国民性からかもしれませんが、もしかして、「徴兵制」によるものかもしれないと思うこともあるのです。
そう、最近の両国の砲撃のニュースでもわかる通り、韓国は長きに渡り北朝鮮と戦争状態にありますね。ですから韓国には徴兵制があります。
恋がしたい20歳前後の若い時期に、男性達は2年間の兵役暮らしをするのです。
彼女と引き裂かれる人…、彼女が欲しくて仕方ない人・・・、沢山居るでしょうね。その悲しみはいかばかりかと察します。
しかし男女の切ないラブは、さらにメラメラと燃えあがる発火剤にもなり得ますね。
愛する恋人といつかは離ればなれに。または、束の間の嬉しい再会。
それがソウルのイチャイチャカップルを増やす所以となっているのではないでしょうか…と、勝手に思うヒロコせんせいなのでありました。
長くなったので今日はこの辺で。
韓国の非武装地帯(DMZ)と、そこで行われたアートプロジェクトのレポートなどをお送りしたいと思います。
カムサハムニダ~!(ありがとう/韓国語はこれしか覚えてません…。)
(つづく)
[プロフィール]岡田裕子
多様な表現形態で社会へのメッセージ性の高い作品を制作。2007「Global Feminisms」Brooklyn Museum、2009「NO MAN’S LAND」旧フランス大使館跡など、国内外の展覧会多数。現・多摩美術大学美術科演劇舞踊非常勤講師。2010年より個人活動と平行して、オルタナティブ人形劇団「劇団★死期」を主宰。夫で美術家の会田誠を顧問とし、多様で実験的なパフォーマンスをプロデュースする。2015年は、東京都現代美術館「ここはだれの場所?」(7〜10月)に”会田家”として参加、また韓国国立現代美術館国際アーティストフェローシッププログラムにて韓国滞在制作・展覧会などの活動を予定。また、この夏、劇団★死期初の小説「ゲンダイチコースケの殺人ミュージアム」を刊行予定。