前回の記事:三代目・葵マリーとあおいまりい①
「ツインテール」「ニーハイ」「首輪女子」「下乳」…ツイッターを中心にSNSでは様々なフェチ・クラスタが存在する。そんな中、今、俄然注目されているのがローレグ&ローライズクラスタが集う「日本ローレグ・ライズ協会」(以下ロー協)だ。ブルマーをひたすら愛し、ローレグブルマーを作った張本人・ブルマスターK氏が作った協会で、公式モデルと、公式モデルまであと一歩というネクストガールたちが日夜、SNSに自画撮り画像をアップしている。そんなわけで最近ツイッターで「#ロー協」のハッシュタグ付き投稿をよく目にするのだが、果たして「ロー協」とはいかなる集団なのか? そんなロー協の名誉理事を務める、あおいまりいこと、三代目・葵マリー氏にお話を伺う全三回の内の、今回は二回目のインタビューをお届けする。
そもそも男女でくくることが良くないの。
私は男も女もひとつの「人間」としてか見てないんですよ。
──ツイッターで盛り上がりを見せている「自画撮り」ですが、
この現象というか、カルチャーは何なんでしょう?
私自身が自画撮りをしてるわけではないので、
アップしている女の子の気持ちが全てわかるわけじゃないんだけど、
基本は「みんなに見てもらいたい!」ということだと思うんだよね。
ロー協のハッシュタグをつけてツイートしてても
ロー協のRTが遅くなったり、見逃しちゃったりすると
「何でRTしてくれないの」なんて言う子もいるしね。
──いつの時代でも若者は目立つことをしたいものですしね。
ボクらの時代だと「竹の子族」(※注1)とか(笑)。
あと、スマホが普及したってのも大きいよね。
性能がどんどん上がってきて、パソコンがなくてもスマホだけで簡単に
画質をいじれてネットにアップできるじゃない?
──そうですね。ソストフォーカスかけたり、
肌の色を綺麗にしたり、誰でも簡単にできちゃう(笑)。
要するにそれも含めて「自己プロデュース」が
簡単にできるようになってきたってことだよね。
──男が女の子になりすまして、みんなから
「カワイイ!」なんて言われることも可能なんですよね。
大島薫ちゃん(※注2)みたいな超人気の「男の娘」(※注3)もいるわけだしね。
そもそもさ、男女でくくることが良くないの。
要は出っ張ってるか穴が開いてるかだけの違いじゃないですか。
私は男も女もひとつの「人間」としてか見てないんですよ。
私の人生は、ずっとそこへのこだわりがあったので(笑)。
──さすが、まりいさんが言うと言葉の意味が重いです。
男も女もカワイクなって、チヤホヤされたいんだよね(笑)。
そのすそ野を広げたのがロー協のスゴイところだと思う。
あと、チヤホヤされたいというのとは別に「みんなと繋がりたい」
という気持ちが大きいんじゃないかな。
その点、ツイッターの役割は大きいって思う。
──同感です。ツイッターをやるようになってずいぶん交流が広がりました。
だから「繋がりたいんなら、ネット空間だけじゃなくて
実際にみんなと繋がりなよ!」って思うんだよね。
ロー協ではイベント(※注4)を定期的に行っているけど、
ロー協の活動がイベント主体にスライドしていくのは必然なのかもしれません。
──イベントというと、やはり仕切りは達人のまりいさんじゃないと(笑)。
私はもともと生の人間に会うのが大好きだから。
イベントでいろいろな人と実際に会って、みんなで
「ワ~ッ」って盛り上がるのがすごい楽しいんですよ。
──そういう場で生の自分をさらけ出すのは苦手という子も多いのでは?
全てをさらけ出す、ということではないんだよね。
ロー協の子もイベントでは「アカウント名の自分」になりきってますよ。
──なるほど、別の自分になりきるわけですね。
ずっとネットの中だけにいた子たちが、
イベント参加という形で外と繋がるきっかけになったら
いいんじゃないかな。
「自画撮り」ってあくまでも
自分を可愛く見せるためのものだから。
──ちょっと勇気を出してローレグローライズのパンツをはいて
ツイッターにアップしたら、どんどん人生が変わっていくかもしれない、
というわけですね。でも、エッチな恰好をするのに抵抗を感じる子も多いのでは?
あなたみたいな中年男性目線で見るからいけないのよ(笑)。
「自画撮り」ってエッチな部分を見せるためにやっているんじゃないの。
あくまでも自分を可愛く見せるためのものだから。
──す、すいません~(汗)。
女の子も前バリを貼ったり、超ミニの三角ブラをつけるときも、
ちゃんとニプレスしたり、気をつかってるんです。
──次回のイベントではなんとデビュー曲(※注5)の発表もあるそうですが。
曲も歌詞もツイッターで募集しました。
そしたらけっこうたくさん来て。その中から
「140 文字のコミュニケーション~」
みたいな今風の言葉が入ってるものを選ばさせていただきました。
──「初音ミク(※注6)」以降はアマチュアの創作活動が目覚しいですね。
しかし、CDやDVDなど形のあるコンテンツにしちゃうと制作費がかかるし、
在庫を抱えることになって赤字になりやすいのでは?
もちろん、ネット配信という手段はあるけど、
そこはあえてCDにしたんですよ。
イベント限定販売にすれば現場が盛り上がるじゃないですか。
──なるほど。ここでも儲けではなく、
あくまでも「ノリ」が主体なんですね。
実はCD制作にもほとんどお金は
かかってないんですよ。スタジオは流通の人が持っていたので、
そこに曲を作ってくれた人が自分の機材を持ち込んで
レコーディングしました。みなさん無料で協力してくれているんですよ。
──今どきそんな美談があるんですか?
それがあるんですよ~!(笑)。
(続く)
[プロフィール] あおいまりい(三代目・葵マリー)
伝説的SMの女王・ 初代葵マリーの名を襲名し、 三代目となる。 以降、AV監督やイベントプロデュース、 コラムニストなどマルチな才能で幅広い 活動をしている。 女王様と聞くと一見 強面のようだが、 実は面倒見のいいお姉さんです。
(※注1)竹の子族
1980年代初頭、毎週日曜日の原宿・代々木公園横の歩行者天国に奇抜な衣装・化粧の若者たちが集い、ラジカセから流れるディスコサウンドで踊り狂った。ここからデビューする芸能人も現れ、最盛期には見物客を含めて10万人近くが「原宿ホコ天」に集まる狂乱ぶりだった。
(※注2)大島薫
下記(※3)男の娘の、代表格的な人物。6月以降、活躍の場をそれまでのアダルトからサブカルチャーに移し、主にモデル業、執筆業などを行っている。本誌『ゲッカビジン!』でもコラムを連載中。
(※注3)男の娘
男性でありながら女性の容姿と内面を持つ者を指す言葉であるが、容姿や内面に関係なく、単に女装行為を行う男性の総称として扱わる場合も多い。ツイッターの投稿では一見では男女の見分けがつかないので、混沌とした世界が現出している。
(※注4)イベント
ロー協が主催するイベント「ローイベ」の第1回は、昨年11月14日、新宿ロフトプラスワンにて開催された。イベントでは、毎回ロー協モデルズの生着替えやゲーム、撮影会、緊縛ショーなどが行われる。先日の6月19日には、葵マリープロデュースのローイベ第3弾が開催され、今回も大盛況に終わった。
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/34391
(※注5)デビュー曲
ロー協の選抜メンバーによるアイドルユニット「ローズヒップSS」によるCDが完成。デビュー曲は第3回ローイベでお披露目された。
(※注6)初音ミク
2007年、ヤマハの開発した音声合成システム「VOCALOID」から生まれたキャラクター。