聞けば誰もが必ず「えっもう一回お願いします」と聞き返すであろう、
そのヘンな名前の少女は、自身のツイッタープロフィールによると
〝コミュ障のポンコツ〟なのだという。
確かに、インタビュー開始から終了までの間、
終始あたふたした素振りが見られ、受け答えも
「あぁぁ…」「うぅぅぅ…」などという反応で、
こういった状況が苦手なのは強く感じた。
しかし往々にしてアイドルという人種は、
この手のタイプが非常に多く、
他人の干渉を極力避けて生きる少女が、
せめてもの社会の繋がりと、
自己表現の為になんらかの行動を起こす。
もみたそさんの場合、
たまたまその行動が自画撮りだった──。
今回のインタビューは、ざっとそんな結論になるだろうと、
編集部は考えていた。
ところが実際は、我々の理解を超えたはるかに先に、
彼女は立っていた。
そろそろ、私たち大人は、
意識を変えるタイミングなのかもしれない。
自画撮りをはじめたのは中学のころに、
しょこたんぶろぐ(※注1)を観て、
それを真似しようと思って、それからです。
でも最初は、目だけとか撮って。
ブログにアップしてたけど、すぐに止めました。
一ヶ月くらいで。
友達がいなかったから、
誰もコメントを返してくれなくて、
それで寂しくなって(笑)。
まーん。
──誰もコメントをくれず、
それでも信じて更新し続ける、という作業は辛いことだ。
一ヶ月で止めた、というのも頷ける。ただ、
自画撮り欲はそう簡単には覚めることはなく、
高校進学のタイミングで、ツイッターを始めることになる。
そこから本格的に自画撮り活動を再開した感じでした。
学校の同級生が見に来てくれるようになって。
それで、リツイートや、お気に入りを押してくれたりとかしてもらって…。
ウレシャスでした。
──それまで自画撮りは、身体の部位だったが、
再開してからは顔に変わった。
いわゆるキメ顔とか変顔とか。
その上で、日記的なものでーす。
一日の中で起きたことを取りあえず書いて。
例えば、当時初めて友達ができたんですね。
一緒に遊んでる様子とか、結構あからさまにのろけていて、
それもそのまま書いてましたー(笑)。
ま、まーん!!
──最近若者の間で、キス写真をSNS上でアップすること(※注2)が流行っている。
それを我々中年以上の世代は怪訝に思っているが、
どうやらもみたそさんは、それら行動に、
なんの抵抗も抱かない世代の、先駆けのようだ。
ちがいますちがいます! 女友達ですよー。
例えば「今日、ファミレス行ったよ」「ゲーセン行ったよ」とか、
ゲーセンとかカラオケとかに、
一緒に自転車で行って…とか。
ウレシャスなそんな感じですー。まーん。
──この頃、若者の間で、あるムーブメントが起こりつつあった。
アニメソングやアイドルソングに乗せて、その振り付けを真似る自分を、
ケータイカメラやWebカメラで動画撮影し、ネット上でUPする、
いわゆる「踊ってみた動画」だ。
もみたそさんも、多分に漏れず、
その流れに乗った。
アメブロ(※注3)でUPしてました。
友達、その女の子一人しかいなかったんで、その子と二人で
『ハレ晴レユカイ』(※注4)を踊ってました。
──舞台は自宅や公園ではなく、なんと畑!
リンゴ畑でーす。
真っ赤に実るリンゴの下でダンスを踊って、
最高にロマンチックでした(笑)。でも、
それも10パターンぐらい乗せただけで止めました。
その友達とケンカしちゃって…。
一人しかいなかったのに…。
ションボリでーす。
──とはいえ、自分の踊りが世界中に流れた。
えーと、もう、うおぉーーー!
ウレシャスゥ~! って感じでしたー。
なんか、アイドルになったような
テレビに出たような、そんな
舞い上がるような感じがありましたー。
──もみたそさんの高校時代はそんな風に、
自分の情報を日記のように、ほぼ包み隠さず、
アメブロやツイッターで流し続けることに費やされた。
個人新聞みたいな感じです。
今、こういう状態です! みたいに何でも速報を流すという。
そのとき知ってくれた方で、
いまも応援してくれる方はいます。
ありがたい話ですー。
感謝ス…。
──「踊ってみた動画」で得た、
〝アイドルになったようなテレビに出たような、
舞い上がるような感じ〟…それが忘れられなかった?
…と訊けば、そうではないらしい。
何も考えてなくて、
ただちょっとドヤりたいとか、そんな感じでーす。
ドヤって、それで、
そのレスポンスを見るのが楽しいって感じです。
※実際のインタビューでは、あたふたしたりモジモジしたり、
回答が出るまで時間がかかっていましたが、記事作成に当たり、
構成をさせて頂きました。イベントで会うもみたそさんとは
若干ギャップがあることをご了承ください。
(続く)
(※注1)しょこたんぶろぐ
タレント・中川翔子の公式ブログ。ツイッター以前の芸能人ブログにおいて、その情報スピードは最速を誇っていた。ピークは、2007年・紅白歌合戦出演時、なんと分刻みで楽屋の様子をアップし話題となった。
(※注2)キス写真をSNS上でアップすること
恋人同士が自らの意思でキス場面を写真や動画で記録し、それをネット上で公開する、最近10代の若者の間で流行っている現象。代表的なサイトに「10秒動画コミュニティ MixChannel(ミックスチャンネル)」がある。
(※注3)アメーバブログ
サイバーエージェントが提供するレンタルブログサービス。芸能人ブログ御用達。
(※注4)ハレ晴レユカイ
アニメ製作会社・京都アニメーションによる『涼宮ハルヒの憂鬱』(原作・谷川流)のエンディング・テーマ曲。アニメ作家・山本寛演出による、機敏に動くキャラクターたちの振り付けアニメーションが、「踊ってみた動画」フリークたちのかっこうのテーマとなり、一時期、盛り上がった。
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